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2020-06-10

不動産賃貸業における電子契約② 活用編

更新退去2

コロナウイルス流行の影響によってテレワークが増加し、出社を要する「押印文化」が疑問視されるなど、印鑑の廃止および電子契約への期待が高まっています。

不動産賃貸業においても電子化が進みつつある背景を受け、前回の記事では電子契約の仕組みを解説しました。本稿では、不動産賃貸業においての活用できる範囲とその効用について解説いたします。

電子契約の活用範囲

まず最初に申し上げておかなくてならないのですが、現在(2020年6月)の法律だと賃貸借契約を電子契約で完結することはできません

なぜならば宅建業法によって35条書面(重要事項説明書)、37条書面(賃貸借契約書)ともに「書面を交付して説明しなければならない」という記載があるからです。つまり契約自体は可能であるが、別途書面の交付が必要ということです。

これでは従来通りの書面での契約と手間が変わらない上に、むしろ、電子契約よって手間が増えるためわざわざ電子契約をしようという不動産業者はいないでしょう。

この交付については政府による社会実験が行われており、遠くない将来に改正される見通しだと言われています。この流れがコロナウイルス流行の影響でさらに加速することが期待されます。

電子契約が活用できる場面

では現状、不動産賃貸業において電子契約を一切活用できないかというと、そうではありません。例としてあげると、次の3つの場合では現行法でも電子契約で契約を完結することができます。

・駐車場契約
・自ら貸主の賃貸借契約
・賃貸借契約の更新

これらの契約は、一般的な契約行為と同等のもの(宅建業法で特別に言及がないもの)なので、他の契約と同様に電子契約が可能です。駐車場契約においては、実際に電子契約を導入している不動産業者もいます。

ちなみに定期借家契約については電子契約を行なうことができません。借地借家法という法律によって、書面での契約が義務付けられているためです。

電子契約のメリット

電子契約を行なうことでどういったメリットがあるか、改めて整理します。

ペーパーレス化

今後、法改正が進み完全に電子契約に移行すれば(書面交付が不要になれば)、契約書に関する下記のような手間や時間、費用を削減できると考えます。

・印刷・製本する手間と費用
・IT重説時等の郵送費用と時間
・記名押印の手間
・保管する手間や場所

特に最初に2項目は繰り返し行なう、かつ作業量としても多い部分なので、大きなメリットと言えるでしょう。

IT重説活用の浸透

IT重説がイマイチ浸透していない理由は、契約書の電子化が進んでいないためだと言えます。現行法の中でIT重説を行なおうとすると下記ような手順を踏む必要あります。

1. 契約書を製本する
2. 不動産業者(宅建士、管理会社等)が記名押印する
3. 契約書を入居者に郵送する
4. IT重説を行なう
5. 入居者が記名押印して返送する

こうして見ると、電子契約化が進めば手順はかなり削減されることがわかると思います。特にメリットが大きいのは郵送が不要になる点で、

・書面郵送に時間がかかり、スケジュールの調整が大変
・書面が間違っていた場合や入居の押印漏れが合った場合に、再送が必要になる

といった従来の面倒を一気に解消できるため、業務効率化が大きく進むことでしょう。

まとめ

不動産賃貸業における電子契約の活用範囲とそのメリットについてまとめました。

アフターコロナ時代では非対面による契約行為が推進されると考えられ、法改正による賃貸借契約の完全電子化の実現が期待されます。いざそのときが来たときにスムーズに対応できるよう、今のうちからいろいろと検討しておくとよいでしょう。

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