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【IT重説マニュアル】IT重説対応物件とは?メリット、デメリット、国土交通省ガイドラインなどを徹底解説!

近年注目されているオンラインでの重要事項説明、通称IT重説。そもそもIT重説やIT重説対応物件とは?どのようなメリット、デメリットがあるのか?そういった疑問におこたえしていきます。

本記事は国土交通省による、宅建業者が円滑かつ適正に賃貸・売買取引を行えるように作成された「ITを活用した重要事項説明の実施マニュアル(2021年3月)」をもとに解説します。

IT重説とは?

IT重説とは、Web会議ツールなどを使用してオンラインで行う重要事項説明のことです。

【IT重説の要件】

  • 双方向のやりとりができるIT環境で実施
  • 重要事項説明書などの事前送付
  • 開始前にお客様の重要事項説明書などの準備とIT環境が整っているか確認
  • 宅建士証をお客様が視認できたことの画面上での確認

パソコンやタブレットなどの機器を使って、対面と同様に相手が説明を受けたり、質問をしたりするIT環境が整っている必要があります。

IT重説の対応物件とは?

IT重説の対応物件とは、IT重説が可能な物件のことです。

【IT重説の対応物件】

  • 上記のIT重説の要件を満たす
  • すべての宅建業者・宅建士が行える
  • 貸主・売主が同意しており、宅建業者・宅建士がIT重説できる物件

貸主・売主が同意しており、宅建業者・宅建士がその物件に対しIT重説(説明)ができれば良く、特別な資格や免許などが必要なわけではありません。

IT重説は、賃貸・売買などの取引で認められています。

また、「IT重説の要件」を満たすことにより、すべての宅建業者・宅建士がIT重説できます。2019年10月~2020年12月に行われた売買取引におけるIT重説などの社会実験のような事前登録などは不要です。

IT重説に対応する必要性

賃貸取引のIT重説は、2017年10月から本格運用がはじまっています。売買取引のIT重説もついに、2021年4月から本格運用がはじまりました。

そして、デジタル改革関連法が、2021年5月に成立しました。

その影響で2021年5月に宅建業法の一部改定され、賃貸・売買取引の「電子書面交付」の流れが一気に加速しました。内容は確定していませんが、2022年5月中旬までに電子書面交付が可能になる予定です。

【オンラインで「部屋探しから契約まで」完結=オンライン内見+IT重説+電子書面交付】

現在、賃貸取引を行う大手宅建業者・不動産業者は、オンライン内見の導入に力を入れています。この流れは、加速することがあっても、減速することはありえません。これは、契約の完全オンライン化を見据えて、準備を進めていると言えます。

まだオンライン内見やIT重説を行っていない不動産会社は、早めに対応していくことが必要です。

参考:国土交通省|宅建業法にかかるITを活用した重要事項説明等に関する取り組み

IT重説の流れ

事前にお客様のIT環境を確認する

通信環境は良いか、マイク・カメラ・スピーカーなど、IT重説に必要な機材がそろっているか確認します。また、必要があれば事前にアプリなどをダウンロードしてもらいましょう。

お客様に書類一式を送り、届いているか確認する

重要事項説明書、賃貸借契約書、説明に必要な書類などを送付します。宅建士による記名押印などがされているかも確認します。

IT重説実施の同意書をお客様から頂く

書類一式と一緒に同意書をお送りします。録画・録音する場合は、その旨の同意も必要になります。(事前に、IT重説すべてに関する同意を取得することも可能)

双方の接続テストをする

映像、音声が途切れないか、宅建士証がはっきりと見えるかをしっかりと確認してもうようにします。

IT重説を実施する

宅建士証を提示し、お客様にも身分証明書を提示してもらい本人確認をしましょう。重説は約30~60分で終わりますが、通信状況が悪く障害の発生した場合は、中断する可能性もあります。

トラブル例:IT重説が中断してしまった!

IT重説を実施しているときに、映像や音声に支障が生じた場合は、IT重説を中断し、原因を調べます。

すぐに解決するようでしたら、IT重説を再開します。すぐに解決しないときにお客様が希望した場合は、残りを対面での説明に切り替えることも可能です。

お客様が必要書類に記入・記名押印し返送する

契約内容などに問題がなければ、各書類に記入・記名押印して書類を返送します。

トラブル例)お客様から返送してもらった契約書類などに不備があった!

IT重説実施後は、お客様に書類一式を返送してもらいます。 この場合、書類に「書き間違い」や「書きもれ」などの不備があると、双方とても手間がかかります。

お客様の記入欄には付箋やマークをするなど、不備が発生しないように工夫します。IT重説のときにも、記入箇所をカメラで見せてもらい、間違いがないか確認します。

鍵の引き渡し後、入居可能に

契約開始日までにお客様に鍵をお渡し、入居可能になります。

IT重説のメリット

IT重説のメリットとして以下の4つがあげられます。

  • 遠方のお客様でも、対応や日程調整がしやすい
  • 来店分散でコロナ対策になる
  • 業務効率化と経費削減になる
  • 録画・録音で記録を残せる

ひとつひとつ詳しく解説していきます。

遠方のお客様でも、対応や日程調整がしやすい

特に賃貸取引の場合は、遠方の部屋探しをするケースは意外に多いものです。遠方の大学などへの進学や、急な転勤。今までであれば、部屋探しに、重説と少なくとも2回は、不動産会社に足を運ぶ必要がありました。

IT重説を導入することにより、遠方のお客様でもオンラインで重説を受けることが可能で、日程調整しやすく、段取り良く契約を進められます。

来店分散でコロナ対策になる

IT重説はもちろんのこと、部屋探しや内見もオンライン化すれば、お客様の来店回数は飛躍的に少なくなります。これは、来店の分散化につながり、新型コロナウイルス感染症対策の一環として非常に有効です。

これはコロナ禍という特殊な情勢における限定的なメリットですが、顧客の関心も高いのであえて挙げさせていただきました。

業務効率化と経費削減になる

IT重説の導入で、お客様が労力削減と日程調整をしやすくなるのと同様に、不動産会社側も契約などがスムーズに行え、スケジュール管理がしやすくなります。これにより業務効率が上がり、残業時間が減るなど人件費などの経費削減も図れます。

録画・録音で記録を残せる

IT重説では、双方の同意があれば、簡単に録画・録音で記録を残せます。これは、トラブル防止に有効です。

IT重説のデメリット

圧倒的にメリットの方が大きいですが、しいてデメリットをあげると以下の2つがあげられます。

  • 発送に手間がかかる
  • 通信障害や機器トラブルが起こる可能性がある

オンラインのミーティングなどで経験したことがあるかもしれませんが、通信・機器のトラブルが起こる可能性をゼロにすることはできません。

あらかじめ通信が安定している場所を把握し、もしも通信・機器のトラブルなどが起こった場合の対応方法を決めておきましょう。

IT重説の遵守事項(国土交通省)

ちなみに、国土交通省「ITを活用した重要事項説明の実施マニュアル(2021年3月)」に記載されている、IT重説において行うべきことは以下の5つです。

  • 双方向のやりとりができるIT環境で実施
  • 重要事項説明書などの事前送付
  • 開始前にお客様の重要事項説明書などの準備とIT環境が整っているか確認
  • 宅建士証をお客様が視認できたことの画面上での確認
  • IT重説の中断

上述の流れをしっかりと踏まえて進めれば、国土交通省のマニュアル上のぞましいと言われるプロセスをきちんとクリアできるので安心してください。

IT重説の留意事項

国土交通省「ITを活用した重要事項説明の実施マニュアル(2021年3月)」に記載されている、IT重説においてトラブル防止のために望ましいことは以下の5つがあげられます。

  • IT重説実施に関する関係者からの同意
  • お客様のIT環境の事前確認
  • 契約当事者本人などであることの確認
  • お客様に対し内見をすすめる
  • 録画、録音への対応

あくまで望ましいこととされていますが、特に注意が必要なのが録画・録音への対応です。重説には個人情報が含まれる場合もありますので、以下のように行います。

  • 事前に利用目的を明らかにし双方の合意のもとで行う。
  • 実施途中で、不適切だと思われる情報が含まれる場合は、録画・録音を中断し、必要に応じて録画・録音を再開する。
  • お客様の希望に応じて、その複製を提供する。

宅建業者が録画・録音などを残す場合は、IT重説以外で取得した個人情報と合わせて、個人情報保護法などに則った適切な管理が必要です。

経済産業省認定、IT導入支援事業者イタンジが徹底サポート!

IT導入補助金対象ツール「ノマドクラウド」

IT重説をふくむオンライン接客を取り入れるにはシステム費用がかかります。また、どのようなシステムを導入したらいのか分からないことも多いです。

そんなときに心強いのが「IT導入補助金」です。

IT導入補助金の対象となるITシステムなどを「IT導入補助金対象ツール」として選定し、IT導入補助金をサポートする事業者を「IT導入支援事業者」として認定しています。

そして、イタンジは経済産業省認定のIT導入支援事業者であり、ノマドクラウドもIT導入補助金対象ツールに選ばれています。

条件に合う場合は、費用の1/2、最大450万円を補助されます。

IT導入補助金を利用してオンライン接客を取り入れたいとお考えの方はお気軽にご相談ください。

参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会|IT導入補助金2021

ノマドクラウドとは?

ノマドクラウドは、賃貸仲介業向けの顧客管理システムです。

顧客管理からお客様とのコミュニケーションの簡略化、自動追客などさまざまな機能で業務効率化と反響来店率をアップさせるITツールです。

ノマドクラウドでIT重説を簡単に

ノマドクラウドでIT重説をすることもできます。手順はとてもシンプルです。

  1. お客様とIT重説の日程を決める
  2. 必要書類を事前送付する
  3. 当日、お客様のマイページを開く
  4. ビデオ通話ボタンを押す(するとお客様に自動的にURLが送信される)
  5. 録画する際はあらかじめ録画ボタンを押しておく
  6. ビデオ通話を始め、IT重説を行う

お客様にビデオツールなどをダウンロードしてもらう必要もありません。URLをクリックするだけでIT重説に参加できます。

ビデオ通話によるIT重説の他にも様々な機能がありますので、ぜひ一度チェックされてみてください。

関連サービス:不動産仲介に特化した顧客管理システム|ノマドクラウド

IT重説のまとめ

部屋探し、オンライン内見、IT重説、そして契約といった一連のプロセスの完全オンライン化は、借主・貸主双方からのニーズが非常に高まっています。

イタンジではIT重説だけでなく、その先の契約の電子化など、顧客体験のDX化を進める不動産事業者をサポートいたします。お気軽にご相談ください。

関連サービス:不動産賃貸取引に特化した電子契約システム|電子契約くん